Sunday, February 13, 2011

ミスター夫

ミスター夫、あせりがあるからでしょうね、
この1月末にギャラリーに入ってきた、あやしい人物X。
自称、 昔アメリカ陸軍に在籍、退役後、
公立美術館で働いていて定年した55歳、Single, white female。
( 昔映画でこういうタイトルの映画ありましたね。)
なので、アート業界のことは詳しいと、コネがあると
いうのです。私があなたを有名にする、と言ったそうです。

ミスター夫ときたら、
この人に出会って2週間目で、ギャラリーの鍵まで渡して、
今回の自身の個展をしきるようお願いしているのです。

それでいいのか、ミスター夫!?、何度も聞きました。
そしたら、
" I am betting on this opportunity."  との返事。
その機会にかけるのはいいけど、これがその機会なのか?


初めてあやしい人物Xを紹介された時、わたしは彼女から
あやしい臭いをぷんぷん感じました。
言う事がでかい、行ってる事に気持ちがこもってない。
ミスター夫の作品をやたらにほめる。
私の経験上こういうアメリカ人は要注意なのです。
どこの国の人であれ、こういう人は要注意人物なのです。

しかも、このXさん、出会って10日後に自分の家、
ロスから100キロ離れた町から、トラックで
ベッド、絨毯、スタンドライト、ミニテーブル、
はては、お茶にコーヒーまでギャラリーの
控え室に運び込んでいるのです。
あまりに、ありえないことで、ミスター夫に講義すると
" She is trying to help us."   どういう助け?をしてくれてるの?


しかも、そこで、寝泊まりして、夜中にミスター夫
の携帯に電話をかけてきて、寒くて眠れない、と
言うから、まさにオーマイガーです。

その上、電話線をひきなさい、壁を塗り直しなさい、照明を
もっといいものにしなさい。 
それにこたえようとするミスター夫。
家計は圧迫され、住んでいるロフトの家賃さえまだ払っていない
2月。 まさに、スリル満点、手に汗握る2月なのです。
それもそれで、ドキドキして、どこかでどんでん返しがありそうで
たのしみですが。どこだー? どんでん返しー!?


何度かミスター夫に、あやしい人物X はあやしい、と言ったの
ですが、”You should give her a chance."、といわれ、分かった、
信じてとにかく個展の初日にむけて協力する、ことにしました。

そして向かえた個展当日の金曜日。
あやしい人物Xは、想像を絶する非常識な55歳白人女性
と判明したのです。 アメリカ人の大人の非常識は、本当に
凄いです。突然情緒不安定?というほど凄いのです。

それでも、彼女をかばうミスター夫。
ミスター夫も彼女、どこかおかしい、と気がついてる 。
とっくの前から気がついてた、なのに、
彼女が元美術館職員で、コネがあるから、あやしくても
信じたい、ミスター夫の切羽詰まった気持ち、
切羽詰まる必要もないのに、ギャラリー中毒でそう
思い込んでいる、私にはそう見えました。

土曜日の朝、私はミスター夫に
それなら、もういい。 ギャラリーに翻弄され、
盲目になったまま、自分で自分のアート魂をすてかけてる
ミスター夫はもういい。
あやしい人物Xが、それだけあなたの人生に必要なら
彼女に地平線の果てまでついていけ、とお伝えしました。

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